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パハルプール事件簿

パハルプールで起きた盗難事件の記録です。長いです。


<7/9 事件発生>

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宿のキッチン

丸一日パハルプール観光を楽しんだ私達は、お母さんが作ってくれる夕飯を待ちながら宿でのんびり過ごしていました。なお、今回の宿にはツインルームがなかったので、私と相方ちゃんは隣同士の別の部屋に泊まっております。

夜7時過ぎ。シャワーを済ませ、ご主人の部屋で村の写真などを見せて貰っていると、ラウンジで何やら相方ちゃんが慌てていることに気がつきました。

聞くと、サブバッグが無くなっているとのことでした。



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(7月9日夜19:00頃、盗難事件発生)

相方ちゃんが言うには、バッグと一緒に財布代わりのポーチも消えており、それらの中には現金ほぼ全額、クレジットカード数枚、そしてパスポートも入っていたそうです。

私達二人と、宿のご家族も総出で消えたバッグを探します。

ご主人「どこで無くしたんだ?さっき外に出ただろう。忘れてきたのか?」
私(通訳)「ちゃんと持って帰って来たと彼女は言っています。私もそれは見ました。」
ご主人「どこに行っていたんだ?どこに忘れてきたか覚えてるか?」
私「ですからちゃんと持って帰りました。外で無くしたのではありません。」
ご主人「どこを歩いた?どこに忘れてきたか思い出し
私「聞いてますか?確実に持って帰ってきました。この家の中で無くなったんです。」(半おこ)


話にならないご主人は無視して、「いつから無いのか、最後に見たのはいつか」と相方ちゃんに聞くと、

相方ちゃん「少なくとも帰宅時にはあった。ベッド脇の台座に置いたところまでは思い出せる。」
「その後いつ無くなったのかは分からない。部屋に鍵はかけてなかったけど、ずっと部屋の前のテーブルにいたから誰か入ったら気づく。誰も入ってないはず。」


とのことでした。

ならばと思い窓の鍵なども確認しましたが、鍵はかかっているし、そもそも鉄格子がはまっており外部から侵入できるようなものではありません。

しかし話をしているうちに、相方ちゃんはあることを思い出しました。

相方ちゃん「シャワーの水が出なかったから一度ご主人に見てもらった。その間数十秒、私も一緒にバスルームを覗いてた。そのとき背後にもう一人誰かいた気がする。」

そいつだ・・!


しかしそれが誰だったのか、顔は見ていないと相方ちゃん。多分男だった気がするけど、確かではないとのことです。

私(通訳)「この家に誰か来ましたか?」
ご主人「誰も来ていない。家族しかいない。」
私「私達が帰ってきたとき、ロビーに若い男の子が何人かいましたよね?」
ご主人「彼らは私の生徒だ。」

家族以外が来とるやんけと思いましたが、「まさか生徒さんが犯人では」なんて言えません。


その後も捜索は続きます。

ご主人「この家には誰も入ってきていない。いるのは私の家族だけだ。なんなら私達の部屋をチェックしてくれてもいいが?(笑)」

何笑っとんじゃと思いましたが、ここで喧嘩をしても何も良いことはありません。この家には立派な鉄製の玄関があるし、庭のキッチンには奥さんとお母さんが常にいたはずだし、ロビーには相方ちゃんも子供達もいました。「誰も来ていない」を信じるならば犯人はご家族の誰か(あるいは生徒さん)しかいないのですが、それは推測にすぎません。

そして事件発生から30分ほど経ったころ、何故か誰も聞いてこなかったバッグの形状と色を改めてご家族全員に説明したら、宿の娘ちゃんが何かに気づいたような反応をして、ご主人に何やら訴え初めました。何を言っているかは分かりません。この家で英語を話すのはご主人だけなのです。

そしてその直後。庭の暗闇から現れた奥さんが、「あったよ~!」みたいなことを(多分)言いながら件のバッグを掲げました。



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(同日19:45ごろ、紛失バッグ発見)

相方ちゃんは急いで中身を確認し始めます。その間私は奥さんとご主人に話を聞いていました。

ご主人「バッグはここ(庭の隅の石段の上)にあったって!」ニコニコ
ご主人「さっき彼女ここでキッチンの写真を撮ってたから、そのときに置き忘れたんだね!」ニコニコ


私「なんだあ相方ちゃんが忘れただけだったんですね〜いやあすみませんお騒がせしちゃって・・でもほんと見つかって良かった!!」

相方ちゃん「現金全部抜かれてる。」
相方ちゃん「あとこのバッグなんかすごい藁まみれになってるんだけど。」
相方ちゃん「私写真なんか撮ってないし。庭にも行ってない。」


私「・・・・」
相方ちゃん「・・・・」
私「・・どこにあったって言いました?」
ご主人「ここ。」

そこはアスファルトで、藁まみれになるような場所じゃありません。

私「彼女はここに来ていません。写真も撮ってないそうです。ちなみにここに来て写真を撮っていた人物は私です。」
ご主人「・・・・」



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(紛失バッグ発見、しかしパスポート以外の貴重品紛失)

この時点で私は、なんとなくこのご家族を疑ってしまっていました。非常に残念だしすごく嫌な話ですが、状況からしてそうとしか考えられなかったのです。

私「何が無くなってる?」
相方ちゃん「現金全部と、クレジットカード全部。あとポータブル充電器とか手帳も無い。」
私(通訳)「だそうです。」
ご主人「・・・・」

私「このまま荷物が出てこなかったら、私達は警察に行かなければいけません。(だから盗んだものを今すぐ出せ。)」

脅しをかけてみる私。


すると数分後、奥さんがどこからかクレジットカードの束を持ってきました。

私「どこにあったんですか?」
奥さん「・・・(庭の一角を指差す)」

そこは私もさっきチェックしましたが、クレジットカードなんて落ちていませんでした。

私「今から警察に行きます。警察署の場所を教えてください。」
ご主人「あー、・・・」

ご主人は何故か急に歯切れが悪くなり、警察署の場所も教えてくれません。色々と質問しても、先程までの態度が嘘のようにモゴモゴと聞き取れない返事を繰り返すばかりです。

私はますます、この人達を疑わなければいけない嫌な気持ちが膨らんで行きました。相方ちゃんは半分パニック、半分消沈状態で、「誰を信じていいのか全然分からない・・」と呟いていました。目が死んでいました。



その後、スマホの地図で最寄り警察署を探しながら、「何が無くなっているか」「現金はいくらあったか」など相方ちゃんに思い出して貰っていると、何やらゴツいお兄さんが訪ねて来ました。誰だ?親戚か?と思いつつ気にせず出掛けようとしたら、

ご主人「警察に行く必要はない。彼はポリスだ。」
彼「ニヤニヤ」


無視して警察に行きました。



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パハルプール警察署

警察署は、宿のすぐ近くにありました。オーナーと奥さん、そしてニヤニヤ男も渋々といった様子で付いてきましたが、ニヤニヤ男、命名・ニヤオはまさかの本物ポリスでした。

私が「盗難届を出します。書類を作ってください」と言うとニヤ男は面倒くさそうに何かの裏紙を取り出し、「で?」みたいな態度を取ります。

私「こんなメモじゃなく、正式な書類を書いてください。」
ニヤ男「イエス、ディスイズ(ニヤニヤ)」

明らかに適当な紙ですがこいつに何を言っても無駄だと思ったので、「私達は盗難届を出そうとしました」という記録だけは残そうと、とりあえずその紙を受け取り相方ちゃんに紛失物を書き出してもらいました。後から「なんでその日のうちに盗難届を出さなかったのか」とか言われても反論出来るように。

で、相方ちゃんが盗まれた現金の詳細を分かる範囲で書き出していると、「USドル:約500ドル」という一文に対しご主人が

ご主人「ドルは100だろう!」

とか言い出しました。

私「・・・どういう意味ですか?」
ご主人「あ、いや、100ドルはだいたい8,000タカだよ。」
私「"ドルは100だった"って言いましたよね?どういう意味ですか?」
ご主人「うん、100ドルは8,000タカだ。」

急に英語が通じなくなるご主人。 

私はもう完全にこの人を疑い、虫けらを見るような目をしていました。

・・・しかしこの件については、実はオーナーが真っ黒とも言い切れません。

何故なら、相方ちゃんが最初500ドルと書いた数字は別の場所(後述します)で書いた時には50ドルになっており、最終的には10ドルになったからです。いくら持っていたか全然覚えていなかったらしくて、「いややっぱこれくらいだったかも・・」とみるみる数字が減って行きまして。

事件直後で混乱していたというのが大きいのでしょうけど、手持ちの現金が10ドルなのか500ドルなのかも思い出せないというのはちょっと管理がずさん過ぎます。現金ほぼ全額(バングラではかなりの大金)とクレジットカードをまとめて持ち歩いているのも危ないし、そもそも10ドルしかないのに500ドルなんて書いてしまって、完全に虚偽申告じゃないですか!捕まりますよ!

・・と思った私はこれを本人にも言ったのですが、盗難被害に遭い傷ついている相手をあまり追い詰めるのも・・と思いオブラート5重包みくらいにしてしまったので、ちゃんと伝わらなかったかもしれません。ウザがられようが追い詰めることになろうが、今後の彼女のためを思うならはっきり言うべきでした。




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話を元に戻します。

一応盗難届は書いたものの、前述の通りこれは盗難届でも何でもないただのメモ書きでした。そして、ニヤ男を見る限りこの警察署の人々に事件を解決する気があるとは思えませんでした。

なので私は、ニヤ男や宿オーナーや、何だか分からないけどいつの間にか私達を取り囲んでいた10数人の野郎共に向かってスマホの連絡帳をかかげ、「この人に電話をかけてください。ダッカの警察の人です。」と要求しました。いや自分でかけたかったのですが、圏外だったので。

電話の相手はダッカのツーリストポリス、我らがボブさんです。



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何故お前は圏外じゃないんだニヤ男、は、しぶしぶ電話をかけてボブさんと繋がったそれを私に渡したがりませんでした。しかしボブさんに何か言われたのか、嫌そうにその携帯を私に寄越しました。

私「夜分にすみません。ボブさん聞いてください。実はこうこうこういうことがあったんです。」
「盗難届を書いてほしいのに、ここのポリス達はそれをしてくれなくて困っているんです。」
「そして出来れば盗られたものを取り返したいのですが、誰も助けてくれなさそうなんです。」
「私達はどうすればいいでしょうか?」


ボブさん「オーケー分かった。今夜の宿は確保出来ているのか?」
私「はい、問題の宿に泊まるしかないですが、一応寝るところはあります。」
ボブさん「オーケー、その宿の主人に変わりなさい。」

ボブさんと話すご主人。しばらくして、また私に携帯が渡されました。

ボブさん「その宿は一部屋800タカだそうだ。君達は今夜ちゃんと泊まることができるぞ!安心していい。」

ボブさんありがとう。でも私達は別に宿の心配はしていません。

私「ありがとうございます。それはさておき、私達は盗難の件について困っているのです。盗られたものを取り返したいし、盗難届も欲しいのです。どうすればいいですか?」
ボブさん「明日はどこへ行くんだ?」
私「ここにはもう居たくないので、近くのジョイプールハットに泊まろうと思います。」
ボブさん「オーケー、ジョイプールハットは良い町だ。ホテルもある。何も心配するな!」

やっぱり論点がズレているボブさん。

その後も同じやり取りを繰り返し「駄目だこの人・・」と絶望的な気持ちになりましたが、なんやかんやで「明日ジョイプールハットの警察署に行きなさい。」「そしてそこからもう一度私に電話しなさい。」というお言葉を頂くことが出来ました。



その後はご主人と謎の取り囲み野郎共と一緒に宿に帰ったのですが、その中の一人に

謎の男「この宿に泊まっている限り君達は大丈夫だ!100%セキュリティだ!安心していいぞ!」

と言われました。

盗難事件直後に100%セキュリティとか言われてもねと思いました。



<7/10 事件翌日>

昨日は結局何も食べずに眠り、酷く疲れた気持ちで目覚めた朝は、蒸し暑くて薄暗くて頭が痛くて、昨日のアレが夢だったらいいのになあなんて思いました。被害者でもないのに。

そして、事件はまだ解決していません。

荷物をまとめていつでも出られる状態にした後、部屋で相方ちゃんと今後について話し合っていると、奥さんとお母さんと子供達がわらわらと団子になり、床の掃き掃除をしながらこちらを覗きこんできました。

そのゴミの中から、盗まれたはずの手帳を見つけました。中に挟んであったというクレジットカードの最後の一枚も一緒でした。

相方ちゃん「どこにあったんですか!?」
奥さん「(相方ちゃんの部屋を指差す)」

相方ちゃんの部屋は昨日重箱の隅をつつくようにチェックしました。床にそれが落ちていたのなら、見落とすはずがありません。

突如始まった掃除も、不自然にゴミに紛れていた手帳も、こちらを覗きこんできた仕草も、全てがわざとらしい小芝居のように思えました。とにかくパスポートやクレジットカードなど無くしたら困るものだけ返して、それで納得させようとしているのでは?というのが私と相方ちゃんの共通の見解でした。



出発前に、改めてご主人と話しました。ご主人はかなり気まずそうというか落胆しているというか、あまり話をしたくなさそうな雰囲気でした。

私「何か進展はありましたか?」
ご主人「僕は何も分からないよ・・」
私「改めて聞きますが、バッグはどこにあったんですか?」
ご主人「庭の隅だよ」
私「バッグはゴミまみれでした。本当にそこに置いてあったんですか?」
ご主人「君は僕を疑っているのだろうが・・僕はこの宿を10年やってるが、今までこんなことは無かったんだ。僕はすごくショックを受けてる。」
私「私達はもっとショックを受けています。」
ご主人「僕は貧乏な人間だ。毎日の稼ぎでなんとか生きてるんだ。一生懸命やってるんだ。」
私「その事とこの話は何の関係もありません。」

何故こんな会話をしなければいけないのか、腹立たしいのとやるせないのとが入り雑じった複雑な感情で、さらに頭が痛くなってきました。


私「私達は今からジョイプールハットに行きます。そして夕方まで待ちます。それまでにお金が出てきたら、出てこなくても、一度電話をください。」
「彼女は誰が犯人かは気にしないと言っています。無くしたものが戻って来されすれば、それでいいそうです。」
「私達は警察に行くことを望んでいません。無くしたものが見つかりさえすれば、警察には行きません。」
「ジョイプールハットのホテルが決まったら連絡します。夕方そこに来てください。昨日の宿泊費はそのときに渡します。」

私「私は貴方を信じます。宜しくお願いします。」

ご主人「分かった。」

そして私達は、パハルプールを後にしました。



上で言った内容は全て私の独断で、被害者の相方ちゃんを差し置いて勝手にそういう話に持って行ってしまいました。下手に追い詰めるより、「今なら穏便に済ませます」と言った方が良い結果になると思ったのです。

あと、「ほぼご家族で確定だろう」と思っている一方で、少しだけ、まだ信じたい気持ちもありました。ご主人は遺跡を丁寧に案内してくれたし、物静かながら仕事熱心だし、物腰も柔らかでいかにも良い人そうでした。私は正直なところ、何を信じて何を疑えばいいのか、よくわからなくなっていました。



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ジョイプールハットの宿

ジョイプールハットに着いた後適当な宿に入り、二人してグッタリとベッドに倒れこんでそのままウトウトしていたら、ボブさんから電話がかかってきました。



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ボブさん「ジョイプールハットに着いたか?」
私「はい、今着いたところです。」
ボブさん「よし、では今すぐ警察に行きなさい。そして着いたらまた私に電話しなさい。私から事情を話そう。」
私「分かりました。よろしくお願いします。」

今朝ご主人とした「夕方まで待ちます。それまで警察には行きません。」という約束を思いっきり破ることになりますが、致し方ありません。もうなるようになれです。



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警察二軒目/ジョイプールハット警察署

ジョイプールハットの警察署に入り簡単に事情を説明し、それからボブさんに電話をかけました。そしてボブさんが事のあらましを説明してくれましたが、残念ながら「パハルプールはうちの管轄じゃないんだ。君達は隣町のバダルガチー警察署まで行かないといけない。」というお返事でした。地図を見たらそう遠くない町ですし、とにかく行く他ありません。

しかしここからがまたバングラ警察の恐ろしい所で、私達は一旦別の立派な部屋に案内され、警察署長みたいな人と面会し、何故かチャーとお菓子をご馳走になり、署長さんと電話番号を交換した上で談笑し、パトカーに乗せられバス乗り場まで送って頂き、バダルガチー警察署に無事行けるようバスの係員さんに言付けまでしていただきました。

結果、私達は迷うことなくバダルガチー警察署に辿り着くことが出来ました。

バングラデシュ警察の皆さんの優しさ、そして面倒見の良さ。昨日からの流れで疲弊しきった心に急に過度な栄養を与えられ、私は全身の震えを感じると共にちょっと酸欠を起こしそうになっていました。今切実に、良いことも悪いことも起きない、退屈な日々を過ごしたい気持ちです。



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警察三軒目/バダルガチー警察署

バダルガチー警察署の人には事前に連絡が行っていたらしく、すぐに執務室みたいな所に案内して頂けました。

偉い人が入れ替わり立ち代わり部屋に入ってきて、その度に事件について説明し直したりボブさんと電話を繋げたりと忙しくはありましたが、昨日とは違い確実に事の処理が進んでいるのが分かります。

バダルガチー警察署の皆さんは色んなところに電話をかけ、事前に用意しておいた「紛失物リスト」にもしっかり目を通してくれ、書類を書いてはまたどこかに電話して、私達に確認を取り、また電話をして・・と忙しく動いてくださいました。

そしてここでもまたジュースやお菓子を出して頂きました。警察署に来ている緊張感から喉が渇いていた私はこれに大分助けられましたが、飲んでも飲んでもやっぱり喉は渇きました。



そして。

バダルガチー警察署到着からおよそ3時間。ジョイプールハット到着から数えると5時間。そして事件発生からはそろそろ24時間になろうかという頃、事件はついに解決の時を迎えました。



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なんと、盗まれた品々が戻って来たのです。

私は驚きすぎて言葉が出てきませんでした。相方ちゃんは「イヤホンが無いんだけど。」とか言っていました。君冷静だな。


相方ちゃんが品物を受け取り、警察の人と一緒に中身を確認します。

ポータブル充電器は二つとも無事。イヤホンは戻らず。現金は、インドルピーや日本円は無事。バングラデシュタカはやや減っていたようですが、9割は無事。USドルは500と言っていたのが10ドルしか戻りませんでしたが、相方ちゃん曰く「元々こんなもんだったかも」とのことでした。彼女の金銭感覚はどうなっているのでしょう。そしてご主人の昨日の発言(「ドルは100だった」)は何だったんでしょう。



そして肝心の犯人ですが、紛失物と一緒に連行されて来ていました。

犯人は、全く見覚えのない10代後半くらいの少年でした。

ご家族ではなかったのです。



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話の流れとは特に関係のない猫(気分転換)

私達は、すごく腑に落ちない気持ちでした。

"犯人"の少年と一緒にオーナーご夫妻も来ていたのですが、ご主人の話によると

ご主人「彼は近所の家具屋の少年だよ。彼はよく仕事で家に来る子で、昨日も来てたんだ。」ニコニコ
ご主人「彼が君の部屋からバッグを盗んで、中身を抜いて庭に放り投げたんだ。」ニコニコ


ご主人は、何故か微笑をたたえていました。

私達が腑に落ちないのは、あれだけ怪しさ満点だったのにそれが全て白だったという理解しがたいこの結果です。そして、ご主人の昨日の発言と今日の発言が、だいぶ矛盾している事です。

昨日は何度聞いても「だれも来てない。家族しかいなかった」と言い張っていたのに、今日は平気で「家具屋の少年が来ていた」とかのたまいます。昨日は「バッグはここに置いてあった」と庭の隅の石段を指していたのに、今日は「庭に放り投げてあった」とか言い出します。

宿の構造上、"犯人"の彼が本当に入って来ていたのなら誰か気付いたはずだし、相方ちゃんの部屋からバッグを持ち出す姿が目撃されなかったはずもありません。仮に持ち出せたとしても、そのバッグが庭に放り投げられていたらすぐに見つかるはずです。私も庭はチェックしましたが、そんなものは絶対に落ちていませんでした。


相方ちゃんは当然ながらかなり怒っていて、

相方ちゃん「何それ!?この子誰!?本当に犯人!?どうやって見つけたの!?・・って聞いて!!」

私(顎で使われる通訳)「どうやってこの子を見つけたんですか?」
ご主人「この子は近所の家具屋の子だよ。」
私「そうじゃなくて、どうやって、この子が犯人だと言うことに貴方は気付けたんですか?」
ご主人「この子がバッグを持ち出して、庭に投げたんだよ。」

ご主人はまた英語が分からない人になっていました。

そして、

ご主人「彼はこれから罰を受けることになるわけだけど・・・君達はそんなことを望むのかい?」ニッコリ

訳のわからんことを言い出しました。


私は冷静を装っていましたが、内心相当頭に来ていました。そして疲れきっていました。

昨日から警察署を何軒も巡り、何回も同じ話をさせられ、そもそも私は大して英語が得意ではないし、それなのに通訳をやらされ当事者より目立っているし、ご主人はボソボソと私にしか聞こえない(私にも聞こえない)声で話すし、都合の悪い時は急に英語ワカリマセンになるし、何か見たことない少年が急に犯人だとか言って出てくるし、トドメに「この子を罰するなんて君そんな酷いことするの?」とかもうお前らいい加減にしろと思っていました。

そしてそんなドロドロの頭で考えたのは、

「この人は少年に罪を着せたんじゃないか?」「あるいはグルなんじゃないのか?」「それで少年にいくらか渡して私達に減刑を望ませて、何か上手いこと収めようとしてるんじゃないのか?」

ということでした。

もちろん、こんなものはただの妄想です。警察がしっかり動いてくれたのですから、「少年が犯人、ご家族は無関係」が答えなのだと思います。実際、盗難時に相方ちゃんが背後に感じたのは「多分男」で、ご家族にはご主人と小さな息子さん以外に男性はいないのですから。

しかし、つい「グルなのでは?」とか考えてしまうくらい腑に落ちない点が多いため、この結果には納得が行きませんでした。事件は解決したのに、全くスッキリしません。



スッキリしないと言えば、宿泊費をまだ払っていませんでした。盗難事件と言い水の出ないシャワーと言い家庭内害虫Gの大量発生と言い中々酷い宿でしたが、ご主人は当然、宿泊費を要求して来ました。警察の人達には聞こえないヒソヒソ声で。さきほど宿のセキュリティの酷さについてこっぴどく叱られていましたので、そのせいもあるかと思われます。

昨日事件が起こるまでは宿泊費+夕飯&遺跡ガイドのお礼で少し多めに払うつもりだったのですが、色々考えた末に結局、言い値よりやや安い金額を渡しました。自分の中で妥当と思われる金額を。

「これが私達の怒りです。」という言葉を添えたら、ご主人はグゥッと言うような顔をしてこれを受けとりました。こちらもウグッとなりました。被害者ぶるなと言われるかもしれませんが、(いや実際被害者ですが、)私達はこんな結末は望んでいませんでした。パハルプールは本当に良い村だったし、遺跡も素晴らしかったのに。



その後は何故か警察署の皆さんが大喜びの大フィーバーで、バングラ警察恒例の大記念撮影大会が催されました。そしてふと気づくと室内はすごい数の人で溢れていました。狭い執務室にミッチリ20人くらいの人がいました。



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もう訳が分かりませんでした。



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私は疲れていました。



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新聞に載ったかもしれません。



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本日の晩ごはん

帰りはパトカーで送ってもらい、無事ジョイプールハットの宿に帰って来ました。バングラデシュのパトカーに乗るのはこれで三回目です。普通に旅をしているだけなのに何故こうも警察のお世話になるのでしょう。

帰宅後すぐにボブさんと、最初にお世話になったジョイプールハット警察署の偉い人に電話をし、「無事解決しました」という報告と助けて頂いたお礼を言いました。

晩ごはんは相方ちゃんが奢ってくれました。「面倒をかけてすみませんでした。色々とありがとう。」と言って貰えました。


これにて、パハルプール盗難事件は終劇したのでした。

チャンチャン。バタッ(←爆睡)


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<情報コーナー>

◯ ジョイプールハットの宿

「Hotel Saurav」
トイレ冷水シャワー付きのツイン一室500タカ。ACなし、ファンあり。部屋もトイレバスも広くて使いやすい。レセプションのお爺ちゃんが優しい。メインバザールに面しており便利な立地。

| バングラデシュ | 23:49 | comments:11 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

低い橋さまいつもおつかれさまです
いつ相手が逆上するかハラハラしながら読んでました
トラブルは面倒だけど数年経てば笑い話に変化しますよね
ご武運を!

| | 2018/08/03 07:59 | URL |

写真撮影中の低橋さんが白く燃え尽きたように見えるのは気のせいでしょうか?ゆっくり休んで下さい。

警察やその周囲の人は、はるばるバングラデシュ迄来てくれた旅人だから、護りたい思いが強くて私達の予想外の事が起きるのでしょう。

アジア圏( 極東からトルコ辺り迄)全体的に、人の振れ幅が大きくないですか?

| らいら | 2018/08/03 10:25 | URL |

感想

ちょっとだけ思うことがありました、いつもブログ楽しく読ませていただいてまして。
低橋様がクレバーなタイプとしってるから‥

トラブルを引き込むタイプの方とは旅のなかでやはり距離を取っていくべきでは?
物語的には読者にとって、非常に有意義なものでしたが
ラスト、相方ちゃん写真ピースには非常に違和感おぼえました。低橋さん、付き合ってあげてお疲れ様でした。えらいなあ。

| たかはし | 2018/08/04 06:03 | URL |

連投すみません
相方さまの、ある意味でのタフ、ラフさも、うらやましいが
私は、低橋さまのスタイルのがいいな。憧れる。
わたしもちょっとだけバングラデシュ行ったことあんのですが、あなたの旅のほうが、私のそれよりずっと充実してるかな!
同い年なの🤗
いつかあいたいなー

| たかはし | 2018/08/04 06:28 | URL | ≫ EDIT

いやはや、大変でしたね。まるでサスペンス小説を読んでいるような読みごたえでした。解決できて良かったですが、引橋さん疲れちゃいましたよねぇ。。バングラ旅は予期しない出来事ばかりのようですが、今後はトラブルなく乗り切れますように。洗濯物も乾いたことですし 笑

| かずこ | 2018/08/04 11:22 | URL |

> いつ相手が逆上するか

私もそれは怖かったので、様子を見ながら慎重に話しました。まあ最後の方はだいぶ攻めの姿勢になってしまいましたが。。笑
被害者の相方ちゃんは分かりませんが、第三者の私はすでにちょっと笑える思い出となってきているので大丈夫です。ありがとうございます!

| 低橋 | 2018/08/04 14:52 | URL |

>らいらさん

完全に燃え尽きてました(笑)もう今すぐ宿に帰って寝たい一心で。。

警察の人も地元の人も、きっとそうなんだと思います。今回警察(三つ目)に行った際も偉い人が「こんなことになってごめんね」みたいなことを言ってくださいましたし、一部悪い人がいる反面、優しい人達も沢山沢山いるんだなと嬉しく思いました。
振れ幅大きいですよねえ・・毎日すごく混乱します。笑

| 低橋 | 2018/08/04 14:57 | URL |

>たかはしさん

心配していただいてありがとうございます。とても嬉しいです。
写真の相方ちゃんに関しては、彼女もあのとき怒ったり疲れたりしている中で、なんとか警察の人の期待に応えたいみたいな思いもあったんじゃないかと思います。実際被害者は相方ちゃんで、私の何十倍も嫌な思いをしているわけですし。・・って、そう考えると顔が死んでる私の方がよほど空気読めてないですね。笑
バングラ旅は充実と言っていいのか・・本当にトラブルばかりで何か呪われてんの?と本気で考えてしまうくらいでした。笑
同い年ですか!どこかでお会いしたいですね!(^○^)バングラかな?笑

| 低橋 | 2018/08/04 15:07 | URL |

>かずこさん

ありがとうございます。トラブルは・・バングラを出た現在も地味に継続中で、よくある小さなトラブルと捉えていいのかバングラ難の延長なのか、今後まだ何か起こるのか!?と非常にビクビクしております。笑
まあ乾いた洗濯物が復活への第一歩と考えて、なんとか乗り切りたいと思います!笑

| 低橋 | 2018/08/04 15:10 | URL |

ハラハラしながら読みました

自分なら・・・
やばい、手が出る・・・( ̄▽ ̄;)

よくぞ憤怒の感情をコントロールできましたねー、感心しましたよ

相手を追い込ませず、悔恨の気持ちを引き出し、冷静に都度判断し、できるだけ自然解決にもっていく。。。
なかなかできないですよねー

ベタなイライラ寸劇見せてもらったってことで!

最終的にほんと解決出来てよかったですね
おつかれざでしたー

| みっちー | 2018/08/16 12:42 | URL | ≫ EDIT

Re: ハラハラしながら読みました

>みっちーさん

自分の事じゃないので冷静になれただけかもしれません。自分の問題だったらもっと怒ったり慌てたり放心していた可能性が・・でも私怒ると冷める性質っぽいので、案外うまくいくかもです。笑
個人的にはパスポートとクレジットカードが戻って来ただけでもかなりの奇跡と思っております!◎

| 低橋 | 2018/08/20 04:25 | URL |















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