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チャリ旅35日目/国境越えに挑む8人のシクリスタ


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本日はついに決戦の日。

本日の雨予報は外れ、3日間続いた雨が止み、雲間からわずかに空が見えました。

フェリーの出航時刻は8:30。
オヒギンス村からフェリー乗り場までは8キロほどあるため、
まだ辺りが薄暗いうちに起き出し、身支度を整え、7:10には宿を出ました。



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湖沿いの砂利道を登ったり下ったりしながら40分走り、フェリー乗り場へ到着しました。
先に行ってもらったウィリーを含め、私以外のチャリダーは全員すでに到着していました。

本日国境越えに挑むチャリダーは、私を入れて8人。
チャリダーをスペイン語に直しますと、8人のシクリスタがここに集結しました。



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ここが、本当の意味でのアウストラル街道の最終地点です。
プエルトモンからここまで、国道7号線、通称アウストラル街道は
1,247キロの道のりであったと書かれています。

よくぞここまで走って来たものです。
未知の世界だった自転車の旅、そして初めて走ったのがダートと峠越えだらけのアウストラル街道。
サンチアゴの自転車屋で見つけた一番安いチャリンコで、防水でも何でもない安物のサイドバッグを付け、
パタゴニアを舐め切った安物のテントと寝袋をかかえ、バックパックは背負ったままで。

あまりに無知で素人で無謀なスタイルの私を見て、
他のシクリスタ達はあきれて笑いながらも、いつだって手を差し伸べてくれました。



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そしてついに今日、アウストラル街道に別れを告げ、最後の難関である国境越えに挑みます。
たかが国境越えですが、されど国境越えです。
この先に待ち受けるのは、「世界一美しくて、世界一過酷」と名高い地獄の国境越えなのです。
誰が名付けたかは知りません。が、シクリスタの誰かだというのは間違いありません。
この国境は徒歩か自転車でしか渡れませんが、自転車で行くにはあまりにも・・・なのです。




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小型のフェリーには沢山の人が乗り込んでいました。

フェリーの乗り口は狭く自転車が通れる隙間は無いので、
荷物を全て外してまずは自転車だけ担いで積み込み、甲板の鉄柵にロープで固定して貰いました。
そして、後から運んだ荷物は全て甲板下の荷物入れに仕舞って貰えました。これで雨が来ても安心です。

なお、上の写真の真ん中に写っているのがドイツ人のウィリー君です。
年齢不詳ですが多分20代後半です。



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フェリーは8:30発、11:15着。3時間の短い船旅です。
ツアー船みたいなものらしく、船内では珈琲が振る舞われたり、
「あれがナンチャラ山で〜」みたいなアナウンスが流れていました。

そして見て下さいこの奇跡の晴天を。昨日までの悪天候が噓の様です。

アウストラル街道走行中はほとんど雨に降られるか曇天で、
どうやらお天気運が尽きたなと思っていたのですが、ここへきてこの晴天。
一番晴れて欲しい時に晴れてくれるとは、お天道様はまだ私を見捨てていない様です。



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予定通りの11:15に対岸に到着しました。
ここから、まずはチリ出国のためにイミグレ−ション(国境審査の建物)を目指します。
そこまでは1キロだと言うので、すぐそこです。

皆で協力して荷物を降ろし、パッキングをし直している間に船と乗客達は消えていました。
自分の荷造りに忙しく、よく見ていなかったとは言えそんなに大勢が移動した様には思えなかったので、
多くの乗客はそのまま船に残ったのかもしれません。
よく知りませんが、同じ船で氷河を見に行くツアーなんかもやっているそうなのです。

ところで、船の中に一番大きな水入れを落とした様です。
気付いた時には船はもうおらず、辺りにも落ちていなかったのでおそらく甲板の下に忘れられています。
これから地獄を見ると言うのに命の水の大半を失う私。
一応他にも持っていますし、沢もあるでしょうから補給はできますが、幸先の良いスタートです。



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私たちシクリスタスは今日中にアルゼンチン側イミグレまで行きたいので、全員下船しました。
チリ側イミグレとアルゼンチン側イミグレは、山一つ分離れています。
事前情報によると、そこまでは早くても18:00、遅くて21:00くらいまでかかるそうです。
私は言うまでもなく鈍足チャリダーなので、21:30の日暮れに間に合わせるためにも、
できるだけ早く出発し、できるだけ急いで行きたいです。

・・・が、私以外は皆、その場で暢気にお昼ご飯タイムを始めてしまいました。
ええ〜何その余裕。ご飯なんて船の中ですませておきなさいよ・・・

私は普段は一人を好みますが、今日だけは何としても誰かとチームを組みたいです。
本日の国境越えは山あり谷あり森あり川ありのデスロードで、時には自転車を担ぎ上げて
乗り越えなければいけない難関もあるそうなので、一人で越えるには少々厳しいものがあるのです。
体力もパワーも有り余っている西洋人男性とかならまだしも、
私の様なひよっこはチームを組んで協力しながら進まないと山中で息絶えてしまいます。

が、皆行く気なし。

国境越えの後にはもう一つ湖を渡らないと行けないのですが、
そのフェリーの時間は今夜19:00と翌朝11:30の2回あります。
もしかしたら昼もあるかもしれませんが、私たちが目指すのはこの2つのどちらかです。
私は本日19:00までに着ける自信が全く無いので、明日のチケットを購入してあるのですが、
して、皆さんは?

「まだチケット買ってないけど、今日乗りたいかな^^」
「俺も^^」
「私も^^」

じゃあ行こうよ!

何その余裕!山中で息絶えてしまえ!ばか!



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もう諦めて一人で行こう・・どうせすぐ追いつかれるし・・山あり谷ありのコースに突入したときに一緒になれればそれでいいんだ・・・と思い歩き出したら、一人、オランダ人男性だけ「僕も行くから一緒に行こう」と言ってくれました。おお流石オランダ人。伊達に自転車大国を生きていません。

そして、いきなり立ちふさがったのが写真の道です。
道なのかこれは?と問いつめたくなる様な酷いものでした。

坂はきつく、足下は写真の通りで、ほとんど自転車に乗る事が出来ません。
かと言って、押して歩いても砂利にズルズル足とタイヤを取られて進めません。
ときおり乗れる場所もありますが長くは続かず、乗ったり降りたり忙しくて息が切れるばかりです。

イミグレまでたったの1キロだと思っていましたが、されど1キロでした。



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チリ側イミグレ

早くも汗まみれのゼエゼエになりながらも、ようやくチリ側イミグレに到着しました。
ここでチリ出国の手続きをすませ、次のステージへ進みます。

なお、真ん中に写っているのがオランダ人です。




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その後は先ほどまで以上に酷い道でした。
さきほどの道では、私は無理でもオランダ人は結構頑張ってこいでいたのに、
今度は彼も何度も降りて自転車を押す羽目になっていました。



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オランダ人が撮ってくれた私の勇姿1

最初から分かっていたことですが、私とオランダ人はスピードが全く違います。
私が普段一人で走りたがるのは、こうした理由からです。
相手の人の足をひっぱり、迷惑をかけるのが嫌なのです。

今日だけはどうしても助けて貰いたいものの、やはり迷惑をかけるのは忍びなく、
「私は遅いのでいつでも置いて行ってもらってかまいません」とオランダ人に伝えたら、彼は
「じゃあ登り坂を越える度に止まって待ってるから、自分のペースで来て」と言ってくれました。
適度な距離感と、大きな優しさ。本当にありがたくて、「よし頑張ろう!」と思えました。



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オランダ人が撮ってくれた私の勇姿2

できるだけ待たせずに済むよう、とにかく必死に前進しました。
5キロほどほとんど乗れない道が続き、自転車を押しながら登るのですが、
勾配がかなりキツく砂利も酷いので止まるとズルズルと後退してしまいます。

進んでも地獄、止まっても地獄。

汗をぬぐう余裕も無いままとにかくノンストップで登り続け、
オランダ人に追いつく度にようやくひと呼吸置く、というのを1時間以上続けました。

彼は彼で止まる度に三脚を出し、景色や自分の写真を撮っていたので、
ただ無為に待たせているわけでは無い事を知って私もだいぶ気が楽になりました。



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登っている時は景色を見る余裕など全くないですが、止まって振り向くと、
オランダ人がわざわざ三脚を出してしまうのも納得の素晴らしい景色が広がっていました。
青く輝くオヒギンス湖に、雄大な雪山達。
この大自然の中で自分はなんてちっぽけなんだろう・・てか何でこんな虫の息になってるんだろう・・
と、素朴かつ大きな疑問を抱くのでした。


そしてさらに進んで、14:00ごろ少し遅めのお昼休憩を取りました。
「登り坂ごとに待ってる」との約束を守り今度も坂の上で待っていてくれたオランダ人は、
荷物を広げ、寝袋を天日干しし、コンロを出してスパゲッティー作りを始めていました。
この人もたいがい余裕があります。オランダ人お前もかです。
すぐに出発出来るよう船の中で朝食を済ませ、すぐに済ませられるよう
お昼にはおにぎりを作って来た気合い充分の自分が、なんだか虚しく思えてくる光景でした。


ここで1時間ほど休憩していたら、ウィリーとオランダ人夫婦が追いついて来ました。
そして少し話をして、追い抜いて行きました。ほれ1時間も休憩してるから・・・

なお、8人いたうち残る3人のシクリスタは、彼らが出発した後もまだ
のんびり船着き場で休憩していたそうです。
「今日はあそこに泊まるんじゃない?奴らラテン系だからね・・」とのこと。
ナニ人かは知りませんが、ラテン系なら仕方ありません。
ラテン系の人間には「急ぐ」などという概念は無いのです。


15:00になってようやく私たちも出発しましたが、走り出してすぐにオランダ人の自転車に異変が。
素人の私には何がいかんのかサッパリ分かりませんでしたが、何かしらおかしいらしく、
「修理したいから先行ってくれていいよ、待っててくれてもいいけど」と言われました。
なので、待っていても何も手伝えない私は先に行かせてもらう事にしました。
どうせすぐ追いつかれます。




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その後の道はようやく自転車には乗れる様になったものの、

水たまりあり、



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橋(なのか?)あり、



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何故か空港の滑走路ありの、
お世辞にも良い道とは言えないけどさっきまでよりはまだマシかなという道を走りました。

滑走路はとても滑走できそうにないボコボコの広場でしたが、一応空港の看板がありました。
現在も機能しているかどうかは知りませんが、
していたら一般人が入り放題の状態にはなっていないと思います。




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16:00に国境へ到着し、ここでウィリーら3人と再会しました。

赤いポールの手前がチリで、向こう側がアルゼンチンです。
ここは山のほぼ峠で、このポールと看板以外には何もありません。



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森の隙間からフィッツロイが見えました。

フィッツロイとは、今日明日の2日かけて目指すアルゼンチン側最初の町、
エル・チェルテンにある美しい山です。
ここ目当てに、エル・チャルテンには大勢のツーリストが集まるのだと聞いています。
私もまた、旅仲間達がネットに上げている写真を見て、是非行こうと決めていました。



しばらく談笑していたらオランダ人も追いついて来たので、3人には先に行ってもらい、
私はオランダ人と共にもう少しだけ休憩しました。

オランダ人ともしばらく話していたら、自転車の話になりました。

オランダ人「自転車どこで買ったの?どれくらい乗ってる?てかこのタイヤ・・・」

バレたか。

実はオヒギンスでウィリーにも突っ込まれていたのですが、後輪のタイヤが死にかけているのです。
1ヶ月以上ダートを走り抜けたタイヤ、特に荷物の重みを支えている後輪は消耗が激しく、
ゴムの中にある麻の地が見えて来ているのです。
普通はここまで早く消耗しないはずですが、私のそれは安物なので早かった様です。


<ウィリーとの会話>

ウィリー「早く買い替えなね^^;」
私「でもウシュワイアまで耐えないかなあ」
ウィリー「いや、すぐに替えた方がいいよ」
私「じゃあカラファテ(チャルテンの次の町)で替えるよ」
ウィリー「チャルテンで替えなさい」


<オランダ人との会話>

オランダ人「早く買い替えなね^^;」
私「カラファテで替えるよ」
オランダ人「チャルテンで替えなさい。てか、とりあえずこの山降りたら前輪と後輪入れ替えるから。
僕やってあげるから。絶対やるからね。」

私「あ、はい。お願いします・・・」

相当やばいみたいです。


あと、オランダ人はその場でタイヤに空気を入れてくれました。
減ってるなあとは思っていたのですが、入れるのを忘れてそのまま来てしまったのです。

オランダ人「こんな状態で来るなんて君は狂っとる」
私「無知なだけです」

そんな心温まる会話をかわし、次のステージへ出発です。




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ここからが本当の地獄です。
国境を越えた途端に、道はトレッキングロードになるのです。

トレッキングロードとは、説明するまでもなくトレッキングをするためのロードです。
自転車で行く様なものではありません。
そんな道が6キロ続きます。

たかが6キロですが、されど6キロ。
たった6キロの道のりに4時間、速い人でも2時間はかかると聞いています。
この道こそが、この国境越えを「地獄」と言わしめているのです。



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オランダ人が撮ってくれた私の勇姿3

この道はまだマシな方です。
狭くてボコボコで危ないながらも、一応は自転車に乗れるのですから。

この6キロは峠から湖まで降りる道なので、登りはほとんどありません。
登りではない分まだマシですが、下りだからこそ、危険が増しているというのもあります。
結構急な下りな上、石や木の根など罠が沢山あるので、油断するとすぐにでも転倒してしまいます。

どうしても越えられない段差や岩や大きな木の根は、
自転車を降り、必死にこれを持ち上げて越えて行きました。
フルパッキングの自転車は、30〜40キロほどあります。
私は荷物の一部をバックパックに入れて背負っているので、自転車は30キロくらいでしょうか。


この道も酷いですが、さきほども書きました通り、まだマシな方です。
本当に酷いのは、




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道を塞ぐ川とか、


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道を塞ぐ水たまりとか、


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道を塞ぐというか道じゃなくて川とか、


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もう道ですらない池とかです。


最初は、靴を濡らさない様に色々工夫して渡っていました。
丸太の上をそっと歩いたり、飛び石を利用したり。
でも4つ目、5つ目くらいからもうどうでもよくなり、というかどうにもならなくなり、
後半はもう全く躊躇することなく靴ごと池に突っ込む様になりました。

そうする他無いというのもありますが、もう一つ、私は滅茶苦茶焦っていたのです。

オランダ人は今後の旅程の都合上どうしても本日19:00のフェリーに乗りたいらしく、とても急いでいました。
なら1時間も昼食休憩を取るんじゃないという突っ込みはともかく、
急いでいる彼は本当に速くて、あっという間にはぐれてしまったのです。

薄情者オオオオオオオオオオオオオオオオオオ

という叫びも届かないくらい離れてしまったオランダ人を追いかけ、
脇目もふらず、汗も拭わず、一度も止まる事無くとにかく必死に進む私。

こんな訳の分からん森の中で一人取り残されるなど、恐怖以外の何者でもありません。
しかもここはチリでもアルゼンチンでもない中間地点。
こんなところで倒れたら、誰も探しに来てくれません。

悪路の為か、ほとんどこげない為か、サイクルメーターはマトモに働かなくなっていました。
今自分がどのあたりにいるのか全く分からない不安。一人取り残される不安。
叫び出したい気持ちを抑えながら自転車を押し、乗れる所があればたったの10メートルでもいいから乗り、
飛び出した木の枝や根っ子に身体中をボッコボコにされながらもとにかく先へ、先へ。

・・・と、やっていたら3人に追いついたのが、一番下の池の写真です。
小さく写っているのはオランダ人夫妻の旦那さんの方です。

「オランダ人通らなかった?」と聞いたら、「彼はあっという間に追い越して行ったよ」とのこと。
奴は本気です。そしてそんな彼を追いかけて来た私もまた、かなりのスピードが出ていた様です。



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こんな道もあります。いやもう、これ道とは認めたくないのですが。
幅50センチ、高さ3〜40センチくらいの溝です。
ときにはサイドバッグがひっかかって進めなくなりますが、この頃には皆そんなのどうでも良くなっており、
自転車もバッグも自分の体もボコボコにぶつけながら前進を続けました。

あと他にも傾斜50度の土壁越えとか、道幅40センチの小道越えとか、
傾斜何度か知らんけど激坂決死下りとか色々ありましたが、4人の協力とド根性で乗り越えました。
この辺りの写真はありません。そんな余裕は無かったからです。



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そんな中、開けた視界に突如フィッツロイが現れました。
全員、思わず叫び声を上げました。

なんという美しさ、神々しさ。
チャルテンはあの山の向こう側にあるため、こちら側からのフィッツロイの姿を見られるのは
この地獄の国境を越えた者だけの特権です。

泥まみれ傷だらけの体とボロボロの自転車をかかえ、フィッツロイを見つめる4人のシクリスタ達。
この瞬間、この場所から、この美しい光景を眺めている自分がとても誇らしく思えました。



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その後は傾斜のキツい危険な坂を慎重に下り、
ついに、ゴールのアルゼンチン側イミグレに到着しました。

時刻は18:30。
峠の国境からここまで2時間少々で来られました。
最後は他のシクリスタ達と一緒にゆっくり降りて来ましたが、
一人でオランダ人を追いかけていたあのスピードのままだったら、余裕で2時間を切っていたと思います。
自分の実力では5時間はかかると思っていたのに、いつの間にこんなに逞しくなったのでしょうか。

後でウィリーに聞いた話ですが、オランダ人は今日の私をすごく褒めてくれていたそうです。
すごくタフで、頑張り屋だと。
私は体力には自信がありましたが、自転車に乗り始めてからは思う様に行かず、落ち込む事も多々ありました。
なので、そんな風に褒めてもらえたことが本当に嬉しかったです。

まあ今日はほとんど自転車に乗っていないので
そのタフさは別口な気がするんですけども、


いいのです。褒めてもらえたのですから、何でもいいのです。



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アルゼンチン側イミグレとオランダ人

そしてオランダ人はと言うと、とっくにアルゼンチン入国を済ませ、スパゲッティーを食べていました。
またわざわざガスを出して、調理して。貴方はどんだけ余裕なんですか。


さて、私たちも入国を済ませ、本日のキャンプの準備です。 
このイミグレ前には広い芝生のスペースがあり、無料のキャンプ場になっているのです。
お水も貰えるし、なんだったら湖の水(超キレイ)を使ってもいいし、
美しいデシルト湖とフィッツロイが目の前に見えるし、最高のキャンプ場です。

が、私はここに泊まらず、19:00のフェリーに乗る事にしました。
これを逃すと次のフェリーは明日午前11:30。
(※ インフォでそう聞きましたが、実際来たのは12:30だった様です)
そうすると対岸に着くのは12:30で、出発時刻としては少し遅いと感じたのです。

なので、今日中に湖を渡って対岸でキャンプをし、
明日は朝早くから出発してチャルテンを目指そうと決めました。



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ウィリーとアルゼンチン夫妻としばしのお別れをし、
オランダ人と、ギリギリで駆け込んで来たラテン系シクリスタ3人と共にフェリーに乗りました。
私のチケットは明日の日付でしたが、聞いてみたらアッサリ今日に変更してもらえました。

私たちの自転車はフルパッキングのまま甲板に乗せて貰えましたが、
どの自転車もドロドロで傷だらけで、可哀想だけど、なんだか格好良い姿になっていました。



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そして乗って来た人間もボロボロ。

ただのグロ画像なので載せませんが、レギンスの下は痣と擦り傷と切り傷で酷い有様です。
場所によっては血がにじんでいましたが、国境越えの最中ではその痛みに気付きませんでした。
ああ、無事越えたんだなあと一息ついたとたんに痛み出す足と、どっとくる疲れに、
なんだか誇らしさすら感じました。



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この湖は小さいですが縦に長く、約1時間かけて対岸に到着しました。
一応、湖脇の山の中にトレッキングロードもありますが、
十数本の川に阻まれ自転車で越えるのは不可能なんだそうです。



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本日の野宿ポイント

ここに到着するまでの数百メートルの間に2回すっ転びました。
1回目は自転車に乗る時で、2回目は自転車を降りるとき。

本日の国境越えは地獄でしたが、命の危険を感じる程の地獄でなく、むしろアスレチックみたいでちょっと楽しくもあったのでそれほどは疲れていないつもりだったのですが、どっこい半端無く疲れていた様です。
特に足に来ていたのかもしれませんね。


到着した対岸には政府の建物らしきものがポツンとあり、少し進むと2つほどキャンプ場がありましたが、
私たちはそれらをスルーし、森の中で野宿です。
オランダ人は節約のためいつも野宿だそうだし、私はほぼ文無しなので。
チリペソは持っていますが、これまでの道にはアルゼンチンペソに両替出来る場所がなかったのです。
コイヤイケではできたのでしょうが、忘れていました。




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本日の寝床

寝床をこしらえた後は、オランダ人が私の自転車の前輪と後輪を着けかけてくれました。
荷物を積んでいる分後輪の方が圧倒的に負担が多く、すり減り方も激しいのです。
なので、ひとまず前輪と後輪のタイヤを入れ替えて寿命を延ばす作戦だそうです。

オランダ人にお礼を言い、本日撮った写真を交換し、テントに入った後は一瞬で眠りに落ちました。

辛く、過酷で、でも不思議と楽しくて、美しくて、最高の一日でした。


<情報コーナー>

○ 国境越えルート

オヒギンス村からフェリー乗り場まで8キロ。ダート平坦の後緩いアップダウンへ。約40分。
フェリー8:30発、11:15着。フルパッキングの自転車はフェリーに乗せられないため、
乗船時に一度荷物を全て降ろすことになる。
対岸からチリ側イミグレまで1キロ。そこそこ急な登りで、酷いダート。乗れない部分が多い。
チリ側イミグレから5キロほど、ほとんど乗れない悪路の登り。その後乗れる道を10キロほど走って国境へ。
なお、空港を通った直後に分かれ道があるが、左が正解。右は民家しかなく、行き止まり。
16キロ地点が国境で、ここからトレッキングロードが始まる。フルパッキングの自転車だと何度も荷物を外しながら行かないといけないと聞いていたが、私は一度も外さずに行けた。ただ、前輪のバッグは位置が低い場合が多いと思うので、これがあると溝にひっかかったり、池に漬かったりするかもしれない。また、フルパッキングの自転車はとても押せない激坂(2メートルくらいだけど)がある。ド根性か仲間の協力があれば行ける。

○ デシルト湖のフェリー

私は翌日のチケットを持っていたが、簡単に変更できた。
まだチケットを買っていない場合は、乗船時に船員から直接購入。130アルペソ。
19:00と翌朝11:30のがあるとインフォで聞いたが、翌日のは実際は12:30に来たらしい。

○ キャンプ場所

デシルト湖のこちら側(アルゼンチンイミグレ前)は広い芝生スペースあり。イミグレや湖から水も手に入る。また、方角の関係上日暮れ直前まで明るくて良い感じだし、フィッツロイが目の前に見えて最高の景色。

対岸には政府の建物があるだけで、キャンプスペースなし。
少し走るとキャンプ場、値段不明だけど高そう。もう少し走るともう1個キャンプ場、50ペソ。
私は2個目のキャンプ場のすぐ側の森の中で野宿。山々に囲まれてなんか暗い。


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| チャリンコ旅 | 23:28 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

今までのダートなる道はほんの序の口だったのですね!!!ものすごい障害物競争みたいな道のりにただただ驚きです(゚o゚)!!
読んでるだけでもハラハラドキドキしました。
森に置き去りにならずによかったです。

しかし空気のないタイヤで進むなんて、普通のアスファルトでも疲れるのに、そんな状態で走っていたなんてまたまた驚きです。ものすごいガッツですね^^;

冒険的な意味でも、次回の更新、ものすごく楽しみにしています。

| 中美 | 2013/04/03 08:53 | URL | ≫ EDIT

初めまして!
こっそりと低橋さんのブログを愛読していた者です。

今回の記事では私も一緒に、川とか池とか木の根っこをよけながら、自転車を押し、読み終わって「フ~、終わった~」という気持ちになりました。

低橋さんには一生、旅を続けていてもらいたい。。。と思う今日この頃。。。

これからも楽しみにしていますので、健康・安全第一で旅を楽しんで下さいね。

※低橋さんの「コンニャロー!」というのが好きです。

| たま | 2013/04/05 12:56 | URL |

>中美さん

かなり大変でしたが、大変すぎてなんだか笑えてしまう道でした!
オランダ人とはぐれて一人で進んでる1時間くらいは、本当に泣きそうになりましたが。笑

ここからしばらくはアスファルト道が続くので平穏な日々・・と思わせておいて、
私の超楽しい野宿ライフが始まるのもここからなので、ご期待ください。笑

| 低橋 | 2013/04/05 23:37 | URL |

>たまさん

はじめまして!
ブログ読んで頂いてありがとうございます。

一生旅人でいたいですねえ・・・職業:旅人って履歴書に書きたいですw笑
早くも貯金が心配な段階に来ており、それ以外にも問題山積みで先行き不安な感じですが。笑

健康・安全・楽しむ事の三本柱で頑張って参りたいと思います!

| 低橋 | 2013/04/05 23:44 | URL |















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