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ロシア脱出


本日はついにロシア脱出の日です。

次なる行き先は西隣の国エストニアの首都タリン。
サンクトペテルブルクからはバスで7時間の道のりです。


今回利用したのはLux Expressという、サンクトペテルブルク、バルト三国、ワルシャワのあたりを結んでいるバス会社です。4月のいつだったかの日記を見て頂けると分かるのですが、ユーロラインと間違えて予約したやつです。

が、蓋を開けてみればこれが大当たりで、黒塗りの外装は格好良いし、車内は奇麗だし、運転手さんは2人交代制で安全だし、紳士的だし、荷物の管理はしっかりしてるし、安全運転だし、車内にトイレはあるし、コーヒーココア飲み放題だし、wifi使えるし、電源あるし、とにかく何から何まで気に入ってしまったのでした。

Lux Expressお勧めです。料金もお安めですよ。



さて、ロシア脱出の話に戻りますが、発車後ちょうど半分くらい行った所で国境を越えます。
ここではロシアの出国審査とエストニアの入国審査が待っています。
この出国審査が問題です。

今後同じ不安を持つであろう旅人達に語り継ぐため私の状況をまとめますと、

・ウラジオストクの滞在登録をしていない(→△72時間未満の滞在なのでいらないと言われた)
・ロシア入国後3日(7日?)以内の滞在登録をしていない(→△シベリア鉄道の切符を見せれば大丈夫だと言われた)
・サンクトペテルブルクの滞在登録をしていない(→○土日のみの滞在なのでいらないはず)
・滞在登録の半券を持たずに遊び回ってた(→○これはもう過ぎたことなのでセーフ)
・バウチャーを持っていない(→△提示は求められないから大丈夫と業者に言われた)
・ビザがグレーゾーン(→△それは業者の罪であって私は知りません)
・出国日が1日早い(→○遅かったらマズイけど早い分にはいいんじゃないかと)


こんなところです。つまり、「まあ大丈夫なんじゃないかな〜・・?」という感じなのです。


ところが全然大丈夫じゃなかったのです。

以下、私が味わった国境越えの恐怖のまとめです。


サンクトペテルブルクを出たバスは数時間で国境の街に到着し、パスポートコントロールゾーンで一旦停止しました。乗客は全員ゾーン内にある建物に全ての荷物を持って入り、一人ずつ出国審査を受けます。

一人当たりの持ち時間はだいたい1分半くらいだったでしょうか。
結構サクサク進んで行きました。

が、私だけ40分です。


パスポートをペラペラめくったりスキャンしたりしながら、無線で誰かに連絡を取り始める出国審査官のおばちゃん。不穏な気配がしてまいりましたぞ・・・と思ったのが大当たりで、国境警備のお兄さんがすっ飛んでいらっしゃいました。怖い顔をしています。

彼は片言の英語で、

「どこへ行くんだ?」
「タリンへ・・・」
「その後は?」
「バルト三国、ワルシャワ、ベルリンに抜けて日本に帰ろうかと・・(←つい嘘をつく)」
「タリンから出るチケットは持ってるか?」
「持ってません。タリンで買います」
「タリンのホテルは?」
「取ってますが予約確認書は印刷できませんでした。ここです(予約画面の写メを見せる)」
「ふーん・・・」

私とパスポートを見比べながらまた無線で連絡を取り始めるお兄さん。
私の宿の名前を言っていたので、本当に予約しているか確認を取るのかもしれません。


ここで待っていろと言われ出国ゲートの横で大人しく待つ私。
私のパスポートを持ってどこかへ行ってしまうお兄さん。
その横を次々通過していくロシア人かエストニア人の皆さん。欧州の旅行者っぽい人も。

そして全員が終わっても私は廊下に立たされる生徒のごとく待たされたままでしたが、幸いなことに審査官のおばさんが「そこ座ってていいわよ」と言って、出国ゲート脇にあるベンチを勧めてくれました。

その優しさで私を通過させて欲しかったです。



さらに待つ事数分。「バスに置いていかれどこかの部屋に連れて行かれ、ここで一晩明かす自分」のイメージトレーニングが佳境に入り、ついでに入国カードに「学生」とか大ホラ吹いたことを思い出し心の底から後悔し始めたころ、お兄さんは何故か同じバスの乗客である一人の若い女性を連れて戻って来ました。どうやらロシア語・英語の通訳をまかせたようです。国境に英語喋れる人くらい置いとかんかい。

女性も困惑しながら通訳してくれます。

「タリンの宿の予約はしてあるの?って聞かれてるけど」
「はい。昨日なんですが、booking.comというところで予約しました。」
「ウラジオストクで入国してからここまではどうやって来たの?」
「シベリア鉄道で来ました。切符があります」

警備官に日本からの船を含めた全ての切符、ついでにモスクワの滞在登録証を渡す私。
警備官は念入りにそれらを見ていました。

「一人で旅をしているの?」
「そうです」
「どこへ行くの?」
「ヨーロッパを見て回りたいんです」(噓だけど)

ここらでだんだん人々の空気が柔らかくなってきた事を感じました。
その後、どうやら許してもらえたようで出国スタンプを押してもらえ、パスポートを返して貰うことができました。罰金も袖の下も要求されていません。審査官のおばちゃんも「良かったわね」と笑顔です。

貴女が止めなければこんなことには
ならなかったんですけどね。



女性に通訳のお礼と、運転手さんに待たせてしまったことのお詫びを言い、ようやくこの場から解放されました。運転手さんは「良かったな」というような仕草をし、私をバスに乗せてくれました。



あとから考えてみれば滞在登録の件は一度も聞かれることなく(最初はモスクワの滞在登録証も渡してませんでしたが何もいわれませんでした)、今後の予定のことばかりを何度も確認されました。

出国後の旅行者の行動が何故そうも気になるのか、スパイ容疑でもかけられていたのか。
でもパスポートを見ただけで速攻疑われたというのは腑に落ちないので、他にも何か不審な点があったのかもしれません。それともただの気まぐれかな・・・まあきっとそうでしょうな。


入国時に「出国チケットを持っていないこと」を問われる事はよくあると聞き、タリン行きのチケットを事前予約しておいたのですが、まさか出国した後の予定までつっこまれるとは思いませんでした。それはエストニア入国審査で問われる部分であって、ロシア出国審査官が気にするところでは無いように思うのですが。まあ、真相は分からないので何とも言えませんが・・・


・・・とまあ、そんな事がありつつもロシア脱出はなんとか成功したのでございます。

私の心に深いトラウマを植え付けて。



その後バスで200mほど進んだら今度はエストニア入国審査がありました。
これは車内に審査官が乗り込んで来て全員のパスポートを回収、15分程車内で待っていたら、無事入国スタンプが押されて返って来ました。乗客全員、何も聞かれる事はありませんでした。


エストニアはシェンゲン協定加盟国なので、正しくはシェンゲン協定国の入国審査です。

シェンゲン協定とは欧州の多くの国が参加している協定で、参加国同士の移動は同一国内と見なし、いちいち入出国審査はしない、というものです。ドイツからフランスに渡るのも、東京から神奈川に行く様な気軽さです。

一番最初に足を踏み入れたシェンゲン協定国で入国審査をし、一番最後に滞在した国で出国審査をします。なので、その間たとえ10カ国移動したとしても、押されるスタンプは入国出国合わせて2個です。

このシェンゲン協定国内については、6ヶ月の間に90日間の観光であればビザが免除されます。

例えば私は6月11日にシェンゲン入国したので、3ヶ月後の9月10日まで協定国内を自由に動き回れるということになります。

仮に7月10日にシェンゲン協定国外に出たとします。たとえばトルコ。トルコで1ヶ月間遊び周り、さらにエジプトで1ヶ月遊んだあと再びシェンゲン協定国内に戻ったとすると、そこからまた計算スタートになるので、私は残り二ヶ月、11月10日までシェンゲン協定国内にいられるということになります。

このルールは6ヶ月で一区切りなので、私の場合は12月10日で一度リセットされ、12月11日からまた新たに90日間を数え直すことができます。

そういう事情から、シェンゲンを出るときは必ず出国スタンプを貰う必要があります。滞在日数カウンターが回ってしまうので。最近押してくれない人が多いので本当に気をつけなければいけません。


以上、低橋のまめ知識ひけらかしコーナーでした。

このコーナーは定期的に催されるのでご注意ください。
私は調べだすと止まらない検索魔なので、一部のことに異常に詳しいのです。




さて、ロシアを出てから思う事ですが、

ウラジオストク1日目では一刻も早くこの国を出る事しか考えられませんでしたが、
過ぎ去ってみれば、美しく広大で、まだ過去を引きずっている敵の多い国でした。
あ、うまくまとめるつもりがつい本音が。

でも美しいと感じたことは本当です。美意識が共感できるならそのうち仲良くなれるはず。
第一歩としてお互いの国境を開くことがありますが、きっとその日はまだまだ先なのでしょう。
観光客全てを疑い見張るようなロシア警察の姿を見て、彼らは他国を受け入れる気はないことを知りました。

今日のことがあるのでしばらくは近寄りたくないですが、きっといつかまた来たいです。
怖い中にも親切にしてくれた人達がいたことは絶対に忘れません。


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